怪しい分野

ここ数年ずっと考えて不思議に思ったことです。

三十年も実技を教えて、その中に十年近く学んだはずの生徒がいまだに完全に技法について理解できていないのです。

個別の現象ではありません。もちろん彼ら/彼女達は優秀な生徒です。言いたいのは、中国絵画って決して様式史といった簡単なことではないものです。

普通の文系の大学生でデッサンを描いたこともない人がほとんどで、そういった人たちが修士課程、博士課程に進学して、そして博物館や美術館に就職したり、学校の先生になったりして、人の前にこの絵はこうだああだと、あなたなら納得できますか。

私からすると非常に不思議なことです。

本当に美術って分かってるの?

様式ってしょせん西洋画のアプローチの一つに過ぎないです。そのまま東洋や中国美術に当てはめると難しい文化の要素を触れずにごまかせますが、それは学問とは言えますか、違うような気がします。

私は現代人で、南宋時代の誰かの絵を真似して描いたら、これは宋時代の絵だと思いますか?

違いますよね?

日本の中国絵画史文章や論文を読むと可笑しいところたくさんあります。画家よりも上からの目線で書いており、どこからの自信か理解できない。信憑性がないと等しい。

私自身は美術の実技の出身で、美術史をはじめたのはずっと後のことです。